ランドストーカー 皇帝の財宝 評価レビューや思い出

ランドストーカー 皇帝の財宝の評価レビューです。DDS520、ハード性能、1992年という時代が生み出したメガドラ普及のアクションRPG。これらをクライマックスが上手くまとめ上げ、総合力の作品になっている。未発達が程良い難易度を演出し、玉木美孝氏の絵も魅力的。

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発展途上が生んだ普及の名作アクションRPG

ランドストーカーが発売されたのは1992年10月。思えば、この時代はコンシューマーゲームの過渡期だったのではないでしょうか。

このわずか10カ月後である1993年8月には、聖剣伝説2が洗練されたモーションバトルを採用して、SFCで鮮烈なデビューを飾りました。日本での売り上げ150万本の堂々のミリオンヒットを記録。

かと思えば、1994年6月には、ゼルダの伝説タイプのアクションRPG「新創世記ラグナセンティ」がメガドライブで発売されるなど、新旧のハードが大激戦を繰り広げていた時代です。

そんな時代に発売されたランドストーカーですが、旧ハードにあたるメガドライブで発売された事により、時代遅れと言える部分もあるかと思います。

ただ、この作品は、あえて、この時代にメガドライブで発売したからこその名作で、これがSFCだったら失敗していた可能性は高いでしょう。ランドストーカーの次作にあたる、SFC「レディーストーカー」が、まさにそんな感じでした。

DDS520で実現した発展途上なクォータービュー

ランドストーカーは、メガドライブソフトの中では、かなり斬新なクォータービューの視点が採用されています。これを実現するのがDDS520というシステムです。

しかし、SFCや次世代機のPSなどに比べると、かなり発展途上なクォータービューだと思います。

ゼルダの伝説タイプのアクションRPGなのですが、神々のトライフォースでは希薄だった、高さの概念に力が入っています。

しかし、高低差の演出に力不足が目立ち、初プレイ時などは、どの高さにあるのか?、どの高さにいるのか?を把握しにくいんです。これが低評価の理由に繋がる事もあるようですが、私はこの部分が高評価の決め手になっています。

もし、MDにランドストーカーにマッチするような立体描写能力が備わっていれば、ゲームが簡単になりすぎていたと思います。その良い例がマリオRPGだと思います。

マリオRPGは、ランドストーカーとは比べ物にならないくらい滑らかなクォータービュー視点で、高さの概念にも力が入っています。しかし、あまりに滑らか過ぎて、マリオRPGのアクションパートは、RPGにおけるフィールド移動にかなり近くなってしまっています。

一方、ランドストーカーは移動が見事にアクションゲームになっています。高低差の表現が発展途上だからこそ、程良い難易度を演出でき、それが「やりごたえ」に繋がったのではないでしょうか。

ランドストーカーの評価ポイントは、やはり程良い難易度で、絶妙ともいえる難易度設定ですね。簡単でもなく、難しくもない、何度でもプレイしたくなる難易度です。

特に印象的なダンジョンが中盤に訪れるグリンメイズの森で、様々なゲームに出現するいわゆる「迷いの森」に、これでもかっ!?というくらい高低差を盛り込んだ手応えのあるダンジョンです。

本作の数あるダンジョンの中でも、1番好きなダンジョンですね。

SFC以降と比べると発展途上だがMDでは圧倒的

ランドストーカーは、SFC以降に発売された名作クラスと比べると、物足りなさを感じるかと思います。そりゃあ、聖剣伝説2やFF6なんかと比べられると太刀打ちできないでしょう。

しかし、メガドライブソフトで比べると、そのグラフィックは圧倒的で、このゲームは非常に描写のバランスが取れてますよね。

単純にDDS520が凄いというわけではなく、グラフィックの描き方が王道中の王道です。

というのも、メガドライブで最も成功したRPGといっても過言ではないシャイニングフォース・シリーズを手掛けたクライマックスの制作ですし、グラフィックはメガドライバーなら知る人ぞ知る玉木美孝さんです。

クライマックスは、ドラゴンクエストの開発スタッフが独立して立ち上げた会社だけあって、本当に王道ゲームの落としどころをわかっていらっしゃる。

グラフィックのまとまり具合で比較すれば、メガドライブの中でも屈指だと思いますね。

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メガドラ屈指の洗練されたサウンド

ランドストーカーは総合力の高いゲームなので、サウンドも素晴らしいです。フィールド移動に重きを置いた作品なので、フィールド曲には名曲が多いです。

そんな中で、私の思い出の1曲が「トレジャーハンター・ライル」。後半のフィールド曲で、幼少期に聴いたゲーム音楽の中で、1、2を争うくらい印象に残っています。

ゲーム音楽を本格的に聴くようになるまで、メガドラサウンドナンバー1として、私の中に確固たる地位を確立していました。

現在は、テルプシコラや古代祐三の存在を知ってしまったので、ナンバー1とは言い切れませんが、それでも上位に残る事は間違いありません。

また、テルプシコラドライバの代表作ともいえる、ガントレットやバッドオーメン。古代祐三のベアナックルなどは、既にメガドラ音源の領域を超えてしまっているので、メガドラサウンドという、くくりが正しいのか疑問です。

その反面、ランドストーカーの音源は、あくまでもメガドライブの音源で表現しているという感じで、曲調なんかも、まさに王道です。

割としっかりとしたサントラが発売されている事からも、本作の音楽に力が入っている事を窺えますが、「トレジャーハンター・ライル」はサントラ限定のアレンジVerが収録されています。

オープニングの曲をノールの地下迷宮に採用する粋すぎる演出

このゲーム、めちゃくちゃオープニングが良いです。メガドライブソフトで最も見たエンディングと言えば、シャイニングフォースですが、オープニングは間違いなくランドストーカーです。

オープニングは、ライルがジプタの秘宝を目指して、大陸のダンジョンに挑戦するデモンストレーション的な内容になっています。

このダンジョンがかなり難しそうで、おそらく、これ以上のギミックはメルカトル島にはなかったのではないでしょうか?浮足場の浮上時間中しか取れるチャンスがない箱を使わなければ、段差を越えられないなんて、高難度ギミックはプレイ中にはありません。

そんなダンジョンを軽々と踏破していくライルに、「このゲーム、めちゃくちゃ面白うそうだな」と、見事につかまれてしまいます。

そして、そんなオープニングを引き立てるのがBGMで、「ラビリンス」という曲です。この曲なんですが、オープニングで聴いて以来、しばらくはゲーム中で流れる事はありません。

しかし、ラストダンジョンにあたる、ノールの地下大洞窟で唐突に流れ「おぉ~、あの曲だ~」と納得させてくれます。この演出は、めちゃくちゃ粋で、ほんと、地下大洞窟に「ラビリンス」を採用したのは確かな判断力。

やっぱり、制作陣にとっても特別な曲のようで、サントラでは「トレジャーハンター・ライル」と同じく、別Verが用意されています。

前半のフィールド曲である「財宝を求めて」なんかも名曲で、この曲は物語性の強い曲ですね。熟練のハンターが、鋭い嗅覚を使い、財宝の在り処を探しているような曲名通りのイメージの曲です。

ランドストーカーには、「大地を歩き回る者」という意味が込められているようですが、個人的には「地を這う」というイメージですね。

それと、「財宝を求めて」の物語性は、なにかドラクエ3の「冒険の旅」のインスパイアのような気もします。調べてみると、音楽担当の武内基朗氏は、すぎやまこういち氏と面識があるらしく、素敵な人物相関ですね。

前半のフィールド曲とは一変するのが、後半のフィールド曲で、「トレジャーハンター・ライル」は、RPGにおける飛空艇の入手に相当するBGMだと思います。

丁度、バーラの町に向かう船の上で流れ始める曲ですし。前半の冒険により活路が開けたという感じの曲でしょうか。希望溢れる曲で、相当の名曲です。

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ランドストーカーの思い出

ランドストーカーの購入は、中古ショップだったと思います。完全にパケ買いで、玉木美孝さんの絵が、幼少期の私に何かをうったえたんでしょうね。

なぜか値段まで覚えていて、980円くらいだったと思います。

ミルの塔攻略に1年以上を要する

シャイニングフォースのレビューの時にも語ったのですが、シャイニングフォースとランドストーカーには苦い思い出がありまして、SFの方は、第一章を抜けるために必要なレリーフの意味がわからなかった、というものです。

そして、ランドストーカーの苦い思い出というのがミルの塔で、小学校2年生くらいの私は、このダンジョンの攻略に1年以上を要しました。

問題の場面が、ダークエルフに「にんにく」を使い、逃走するダークエルフをどんどん追いかけてマップ切り替えをしていくところです。

その途中で、壁により死角になっている入口があるのですが、何らかの理由でダークエルフの挙動を見逃した私は、その入口の存在を確認できませんでした。

その後に、延々と塔内を彷徨う事になるのですが、結局、入口を見つける事はできず、セーブデータはミルの塔で放置状態…。

1年以上と書きましたが、正確には何年放置していたかわからず、既にSFCを買ってもらってたと思います。

そんな私に、かつてメガドライブでクリアできなかったゲームをクリアしよう的なマイブームが起こりまして、スーパーハイドライドなんかと一緒にクリアしたんだと思います。

心機一転、ニューゲームで始めたのが功を奏して、今回はしっかりとダークエルフが死角を通る場面を目撃できました。ほんと「なるほど!?」と思いましたよ。

その頃の私は、ゲームに対する理解力も各段に上がっていたので、グリンメイズの森、湖の神殿、地下大洞窟を迷いながらも何とかクリアする事ができました。

確か、グリンメイズの森に初めて入った時は、かなり興奮を覚えて、あれだけ苦労したミルの塔の次のダンジョンです。木という木にマップが埋め尽くされ、ライルの姿を確認する事もできません。

そんな、まさに手探りで少しずつ進んで行く魔の森は、とても印象的でした。

第二次ブーム!?ライル最強化計画

これは社会人になってからなのですが、ランドストーカーの第二次ブームが起こります。

ネットで攻略サイトを見ていると、ライルのHPは最大99ではなく、それを超えて成長するとありました。具体的には、最後の休憩地点であるカザルトの村の命の素でHPを99にして、宝箱の命の素を利用し、それ以上を目指すというものです。

この言葉に胸がときめいてしまいまして、どうしてもチャレンジしたくなってしまいます。しかし、自宅にあった初代メガドライブは壊れてしまっており、動きません。

そこで、Amazonかどっかの通販サイトで、ほぼ新品同様のメガドライブを購入し、第二次プレイが始まったのです。

この低HPプレイの最難関といわれるのが、山岳地帯で戦うVSゼッドです。今でこそ相当数の戦闘をこなしているので、楽に勝てますが、当時は初チャレンジという事で、かなり苦労しました。

十数回程度のリセットの末、ようやく倒せたのですが、実は本当の最難関は、ココからです。お金を貯めるのがとにかく面倒なランドストーカーにおいて、1200G×85もの膨大なお金を貯めるのは苦行以外の何物でもありません。

この金額なのですが、ジプタの秘宝を売って手に入った金貨2000枚で数か月遊べるらしいので、ノール王の財宝に匹敵する規模なのではないかと思っています。

あまりのタルさに命の素を20個だったか、30個だったか購入した段階で、あきらめてしまいました。その後、エミュレーターで達成したのですが、完成したライルの強さは凄まじい。

ノールの神殿最深部で戦う、VSクエイク(金)、VSポルボム(赤)、VSノール王、VSゴラのいずれも、数発の打撃で倒せてしまいます。また、エケエケのみ復活時は、HPが75だったりと、こちらも凄まじい。

このゲームで最も難関な戦闘だといえる、VSホーリーについても、圧倒的な攻撃力で、次々にモンスターを蹴散らしていきます。

メガドライブミニに収録決定

今年の9月に発売されるメガドライブミニですが、ランドストーカーの収録が決定しています。特に驚く事はなく、メガドライブの代表的なアクションRPGなので、ソニックを除けば、真っ先に候補に挙がるのは当然でしょう。

ライルやフライデーなんかは、ドリームキャストのクライマックスランダーズにも出演している事から、メーカーの顔的な側面も持っていますしね。

メガドライブミニには、「どこでもセーブ機能」が付くので、低HPクリアや扉すり抜けバグがより使いやすくなるはずです。

PSPに収録される予定だった追加シナリオが追加された状態で、メガドラミニに収録されていれば、最高だったんですがね。あくまで、メガドラテイストにこだわった状態での追加シナリオなら、ぜひプレイしてみたいです。

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総評

ランドストーカーの魅力を一言で表すなら「総合力」でしょう。メガドライブ作品の中でも、かなりの総合力を持つ作品で、グラフィック、サウンド、ゲーム性のいずれも高いレベルでまとまっています。

特にグラフィックの落としどころや難易度の設定なんかは秀逸だと思いますね。ゲームの王道とは何なのか?の答えを教えてくれる作品です。

個人的には、比較的近い時期に発売されたゼルダの伝説トライフォースなんかよりも圧倒的に面白かったです。