シャイニングフォース外伝ファイナルコンフリクトの評価レビュー。SF1とSF2の空白を補完する前期SFシリーズの完結編。最後の聖戦に相応しい豪華キャストで、マックスやオッドアイに、エリオットやカインの息子も登場。
シャイニングフォース外伝ファイナルコンフリクトとは?
SF外伝および前期SFシリーズを締めくくる作品です。さしずめ、最後の聖戦と言ったところでしょうか?
前期SFシリーズ(SF1~本作まで)のファンならやらないわけにはいかない作品で、制作陣もまたこれまで支えてくれたファンたちへの恩返しを強烈に意識しています。
具体的には、「神々の遺産」と「古えの封印」を結ぶ物語になっています。マックスは、SF1で黒き竜を封印した後にルーンファウスト残党のミシェエラを追ってSF2の部隊であるパルメキア大陸に渡ります。
SF2は、グランシール(グランドシール)の若者たちの物語でしたが、本作ではパルメキア大陸本土からグランドシールに向かって物語が進みます。ちなみに、グランス島にはまだグランシールが建国されていません。
劇中には、光の軍勢の初代リーダーであるマックスはもちろん、マックスの兄であるカインの息子。SF1のパオ大平原で大激戦を繰り広げたエリオットの息子。
SF2で大人気の敵キャラのオッドアイ。さらに、ザ・ダクネスの世界からはメフィストまで登場します!!
この面子を知っただけで、ファンならいてもたってもいられなくなってしまいます。私は外伝1~2には興味がありませんでしたが、ファイナルコンフリクトのみ以前プレイした事があります。
シャイニングフォース外伝ファイナルコンフリクトの評価ポイント
ストーリーが素晴らしい
ゲームシステムは、基本的にこれまでの外伝もしくはシリーズを踏襲しています。
しかし、前2作の外伝作品とは、ストーリーの密度が全く違います。主にSF1とSF2の伏線や謎を大胆に回収していくのが本作のストーリーなので、前期SFシリーズに思い入れのあるプレーヤーであれば、あるほど魅力に感じるでしょう。
まず、プレイしてみると目に付くのがパルメキア大陸の変化です。
SF2でも中盤の拠点として活躍してくれた港町ハッサンは、冒険のスタート地点になります。まだまだ前作ほど栄えておらず、今後は海運の発達により、貿易拠点として栄える事を想像するとニヤッとしてしまいます。
SF2でプレーヤーを苦しめた序盤から中盤の難敵クラーケンは、バトル4で早々と再登場を果たし、まだまだ力を付ける前である事がわかります。
本作でもビドー国のボルカノン神に力を借りに行くのですが、SF2でも通ったボルカノ山道は、美しい緑と水に溢れています。SF2では荒れ果てた姿になっていましたが、「ボルカノン vs オッドアイ」の影響でしょうか?
BGMはやっぱり「はるかなる たびのよびごえ」のアレンジが採用されています。
また、グランス島もSF2の時とはずいぶん様子が違い、そもそもボウイたちの出身地であるグランドシールが建国されていません。
他にも、SF2でプリズムフラワーに苦しめられた湿地帯は、まだ砂漠でした。ガラム城は、FCの時点から存在し、ガラム王も健在です。
このように、ファイナルコンフリクトという点が出現した事により、SF2の物語との間に線が出現する快感を味わう事ができるのです。
カインとオッドアイの共闘
シャイニングフォースの敵キャラでランキングを作成すれば、間違いなく上位に入ってくるのが、カインとオッドアイです。
いずれも、共闘目前に非業の死を遂げてしまいます。そして、本作の主人公であるイアンはカインの忘れ形見なのです。
さらに、終盤にはマックス、オッドアイが仲間になり、悲願が達成されます。
カイン本人が出演するわけではありませんが、その息子と、最愛の弟。最強の力を持つ悪魔王の腹心オッドアイが時空を超えて共闘を果たすのです。
ちなみに、隠し要素で登場なるか?と予想していたSF1のリメイクである「黒き竜の復活」でも、残念ながらそういった要素はありませんでした。
エリックの登場に歓喜
個人的に、カインやオッドアイの次に仲間にしたかった敵キャラにSF1のエリオット将軍がいます。
そして、本作ではなんと、その息子であるエリックが仲間になってくれます。また、加入時には、武人としての忠義と正義感の狭間で悩み抜いた父の葛藤について語られるのです。
このエリオット将軍を掘り下げるという点にも、本作の大いなるサービス精神を感じる事ができます。また、ドラゴニュート(竜戦士)という種族が味方側に初めて加勢したケースだったと思います。
SFシリーズと同じクライマックス作品のランドストーカーでも、ゼッドは敵キャラだったので、ようやくという感じです。
キャラクターにもSF2との繋がりがいっぱい
特に魅力を感じたキャラについて紹介してきましたが、その他のキャラにもSF2との繋がりがたくさんあります。
まず、初期メンバーの魔術師は、SF2でボウイたちに助言をくれたあのハウエルです。ちなみに、SF2では弟子のカズンが最初の魔術師でした。また、SF2の中盤には息子オネイアも登場しましたが、似ても似つかない。
また、ツィッギーの煽りか、ヒロインで僧侶のシンシアは、大幅下方修正されています。めちゃヨワですが、唯一のオーラ使いという点に救われました。
SF2のビドー国では、幼児期のフィルダーと邂逅するイベントがありましたが、本作に登場する鳥人のキッドは、何とも可愛らしい雛鳥のような姿で参戦してくれます。このキャラはめっちゃ好きです。
あと修験者の里(修験者の小屋)で仲間になるモートンも…。セクシーなマスターモンクが仲間になると予測したはず?あの風貌は、明らかなウケ狙い(笑)
極めつけが、ノッシュ。こいつの正体をエンディングで明かす演出は憎すぎる。ある意味、メフィストよりも驚きました。
やっぱりいた!?チートキャラのルブラン
SFではザッパ様。SF2ではピーター君というチートキャラがいました。
そして、本作にもルブランというチートキャラが存在します。流石にピーターほどではありませんが、終始敵軍勢に凶悪な強さを見せつけます。ダントツに高い攻撃力と間接攻撃の組み合わせは鬼畜すぎます。
また、本作でのルブランの活躍があったからこそ、SF2のグランス島にはジッポ君がいたのかもしれませんね。そんな意味では、グランシール王とジッポの間にも所縁がありそう。
少なくとも、グランシール王が盗賊を無下にするはずがありません。その甘さがグランス島の大惨事に繋がったわけですが…
本陣での入れ替え時の台詞
外伝1と外伝2の問題点にキャラのバックグラウンドが掘り下げられない点を挙げました。
本作では、その点が改善されていて、本陣でキャラを外した時と、入れた時に、それぞれ台詞を喋ってくれます。こういった一工夫だけで、キャラに感情移入できたりするので、とても良い改善です。
シャイニングフォース外伝ファイナルコンフリクトの気になる点
マックスの扱いが雑
それまでの外伝作品に比べると、大きく飛躍した作品なので、基本的に文句はありません。ゲームギアの容量を考えれば、大健闘といってもよいでしょう。
しかし、唯一の気になる点でマックスの扱いがあります。
本作におけるマックスのポジションは、SF1のカインと全く同じです。悪魔軍の仮面により、操られ、「暗黒の剣」を携えて光の軍勢の前に立ちはだかります。
ただ、仮面のグラフィックがカインの時のようにカッコいいものではなく、変態仮面にしか見えません(爆笑)。カインというより、武装錬金のパピヨンっぽい。
また、カオスブレイカーは装備できるものの、やはり地道に育ててきたキャラには太刀打ちできず。
さらに、加入も終盤なので、あまりマックスのエピソードについて掘り下げられる事はありません。むしろ、その後に仲間になるオッドアイの方が目立っていたような。
まだまだ魔法は冷遇
初代のタオやドミンゴの影響か、ある程度は改善されたものの、まだまだ魔法は冷遇されています。
本作でも、各系統のパワーレベル4の習得は、基本的に遅めです。他の外伝作品と同様に、転職前と転職後のレベルアップ数の合計値ではなく、各レベル値に固定されています。
各キャラの習得速度は、やや早められ、ハウエルはある程度現実的な習得レベルになっていると思います。また、ルブランも習得こそ遅いものの、その有用性から通常攻略でも転職後レベル20は十分に射程圏内です。
このように、外伝2までと比べると、やや上方修正されているものの、やっぱりタオやドミンゴの並に活躍する魔術師キャラは存在しません。
ただし、強いて挙げればというくらいで、魔法の冷遇がゲーム性を損なうほどの影響を与えているわけではないです。
シャイニングフォース外伝ファイナルコンフリクト【総評】
本作で、ひとまず、前期SFシリーズは幕を閉じました。個人的には、十分に納得できるフィナーレだったなと思います。
特に大きかったのが、主人公のイアンがカインの息子である点と、オッドアイが仲間として再登場した点。さらに、エリオット将軍の息子が仲間になった点です。
また、待望だった本陣入れ替え時の台詞が追加されたり、グラフィック等もゲームギアとしては頑張ってるんじゃないでしょうか?
戦闘システムはSFシリーズを踏襲しているので、完成されていますし、ストーリーもかなりファンの想いを酌んだ内容です。
ただし、それ故に、シリーズを知らないプレーヤーと、ファンとの間にはかなりの温度差が生じるかと思いますが。SF1とSF2が好きな人なら間違いなく楽しめるでしょう。
外伝1と外伝2をリメイクしたシャイニングフォースCDは発売されましたが、どちらかと言えば、ファイナルコンフリクトのリメイクの方が欲しかったような?