ROBOT×LASERBEAM 評価レビューと感想 7巻で連載終了は打ち切りだったのか?

藤巻忠俊によるROBOT×LASERBEAMは、漫画家不足に悩む少年ジャンプの救世主となるか?過去の連載作品「ライジングインパクト」との比較で、評価レビューや感想を書いていきます。

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待望の藤巻忠俊さん

まさか夢と金における漫画レビュー第1作目が「ROBOT×LASERBEAM」になるとは思いませんでした!!

私は、藤巻忠俊さんを特別好きというわけではないのですが、前作にあたる「黒子のバスケ」を楽しく読ませてもらっていました。

また、当時の連載陣は良作欠乏症だったので、否が応でも目立ちます。

当時の私も「ようやく、まともな漫画家の連載かぁ」なんて気になっていましたね。と同時に、脅迫事件の傷も癒えたのかな?なんて思っていました。

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半ば打ち切りか?コミックス7巻で連載終了

既に「ROBOT×LASERBEAM」は連載終了していて、黒子のバスケほどの人気を得るには至りませんでした。ここでも、ヒット作を2作続ける事の難しさを読者に問う事になります。

今回は、「ROBOT×LASERBEAM」が、なぜ突き抜けきれなかったのかの理由を探っていきます。以前、少年ジャンプでは鈴木央さんによる「ライジングインパクト」というゴルフ漫画が連載されていました。

このライジングインパクトが、「ROBOT×LASERBEAM」の評価に非常に役立つかと思われますので、比較するかたちで評価レビューをしていきたいと思います。

ちなみに、どうやったら人気が出るのかではなく、どうやったらも、もっと面白かったのかの観点です。

というのも、現在の少年ジャンプの読者層は、成人に限定しても、まともに漫画の評価をできる層がほぼ皆無なので、良作だからといって人気が出るとは限りません。

評価の下手な読者に対してのアンケート至上主義というカオスな状況に陥ったのが現在の少年ジャンプです。もう少し評価のできる層がいれば、「火ノ丸相撲」なんかは、もっと評価されていたでしょうね。

高校編なんかは、当時のワンピースよりもずっと面白かったです。

主人公の得意クラブに最後まで泣かされる

主人公である鳩原呂羽人は、機械の精度を誇るアイアンショットが得意技です。だからレーザービームなんですが、主人公の得意ショットをアプローチにしてしまうと、まずジャンプ特有のインフレに対応しきれません。

いずれは、エースを量産するような変態技の応酬になる事は、第1話の時点から予測できましたが、あろうことか主人公の得意クラブがアイアン。

アイアンを得意クラブにしてしまうと、漫画として魅せるためには、結局、チップインやらホールインワンしかなくなってしまいます。

でも、これってゴルフにおける最終到達地点付近ですよね。その点、ライジングインパクトなんかは、主人公であるガウェイン七海の得意クラブがドライバーです。

ギフトの開花により、最終的には450yショットという馬鹿げた飛距離を誇るようになりますが、ゴルフはあくまで、カップに沈めるまでの打数を競う競技です。

そのため、アイアンとパットの微調整で、いくらでもまともなスコアにできるんですよね。ライジングインパクトは、少年ジャンプのゴルフ漫画ながら、非常にバランスの整った作品です。

前半は、ゴルフそのものの魅力をゴルフを知らなかったガウェインと一緒に体験します。後半はギフトの応酬による変態技の連続になるのですが、意外にも全体のバランスを崩す事はありませんでした。

ライジングインパクトがゴルフを逸脱したのって、おそらく、頭部の怪我によりガウェインが覚醒した数ホールのみだったと思います。巻数にすると後半の1~2巻くらいかな?あぁ、そういえば紅葉さんを忘れていた(爆笑)

鳩原呂羽人。通称ロボのキャラクターをライジングインパクトで例えると、トリスタン=リオネスというキャラになるのですが、これってラスボスキャラなんですよね。

彼もPWによる変則スイングでチップインを量産するゴルフに愛されたキャラだったのですが、アイアンの正確さや、ドライバーの飛距離など、タイプはロボそっくりです。

トリスタンは終盤のここぞというタイミングで登場し、そこからの仕上げに使われましたが、こいつがゴルフ漫画に最初から主人公として登場する事を想像してみてください。

「ROBOT×LASERBEAM」を漫画として組み立てるのがいかに難しいかがわかるのではないでしょうか。

やっぱり、ゴルフ漫画の王道はドライバーショットで、主人公の得意クラブはドライバーにしておくのが無難なのです。もしくは、ゴルフの総合力を追求するか。

もうひとつ、裏道として「Mr.FULLSWING」のようにあえて、スポーツを逸脱させる方法もありますが、黒子のバスケにおける藤巻忠俊さんの作風を見る限り、そうゆう漫画をかけるタイプの人でもないような気がしました。

鳩原呂羽人の常軌を逸した学習能力

主人公の得意クラブがアイアンである事を知った私は、ロボのドライバーとパットの技術の初期値をどのくらいに設定するのか気になっていました。

しかし、ここでも死に急ぐロボ(笑)。ロボは天性のストレートショットの他に、凄まじい学習能力を持っています。

そのため、ゴルフを全く知らない状態で漫画が始まっても、すぐにルールを覚えましたし、ドライバーもストレートショットのおかげで、高精度の250yショットを最初から放っちゃいます(笑)

さらに、インテンショナル・スライスは、試合中に1発で成功させるわで、「こいつ、アシュクトロフ先生のプライド・スナッチでも、持ってるんちゃうか?」って感じでした。

序盤にルールを覚えきれなかったロボが、試合の大事な場面で、痛恨のルール違反により敗北して挫折するなんて、設定も面白と思ったんですけどね。彼は、秀才なんでありえません。

この主人公の学習能力が漫画を短命にしてしまった感が否めないです。しなしながら、ここら辺の設定を見ると、元々、5巻、10巻以内に終わらせる予定だったのではないでしょうか。

折り合いの付け方はスタミナ!?

最初からかなり総合力の高いゴルファーであるロボですが、スタミナが少ないという弱点を持っています。

しかし、これも持ち前の真面目さですぐに克服してしまいます。ただ、これについては、あまり目立たせるべき弱点ではないと思うので、正解だと思いました。

だって、ゴルフの試合中に何度もバテる主人公なんて、あんまり読者は見たくないですよね(笑)。実際の競技者からすれば意外にスタミナを使うのかもしれませんが、ゴルフをやらない人には、はっきり言って伝わりません。

そのため、序盤にも1度あった演出なのですが、ロボがスタミナ切れで倒れるというのは、1度限りの演出に控えておいて正解だったと思います。

ショットの魅せ方が下手で迫力不足

この漫画の欠点として、ショットの描き方が軽すぎるというものを感じました。特に気になったのが、ロボのライバルである三浦鷹山の顔見せドライバーです。(第3話)

このドライバーショットは、この漫画を計る上で非常に重要な局面かと思いますが、インパクトの瞬間が描かれていません。

「紫電一閃」と呼ばれる神速のドライバーショットが彼の技のようなので、ヘッドスピードの速さを演出するため、インパクトの瞬間を描かなかったのかもしれませんが、全く迫力がありませんでした。

このダウンスイングからインパクト、フォロースルーのコマ割りに関しては、ライジングインパクトと比べてしまうと、雲泥の差があると思います。

ライジングインパクトは、ダウンスイングからインパクトの描き方が上手く、本当にボールの重みが伝わってくるイメージです。

もうひとつ気になったのは、帝王「朱雀」のロブショットですね。ロブショットの迫力を漫画で出すためには、エアー感?(エアリアル)の演出が非常に重要だと思っています。

ここでも、球の上昇から落下を描くコマが少なく、ただ結果だけを提出されたような物足りなさを感じます。

ロブショットに関しては、ライジングインパクトのアイアンの達人、ビルフォード=クーパーが良い見本です。彼の高弾道のロブショットは、非常に描き方が上手く、特にキャメロット杯(団体戦)の第3ホールなんかのショットは素敵です。

反面、「ROBOT×LASERBEAM(第15話)」における朱雀のロブショットは、まずスイングを1コマにまとめてしまっているのが失敗です。

さらに、素振りのようなルーティーンもスイングの直前に入りませんでしたし、上空で球が上昇から落下に転じる瞬間が描かれないのも痛いですね。

ショットひとつひとつに対する雑さが、この漫画に迫力が不足している理由ではないでしょうか。

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「ROBOT×LASERBEAM」の良かった点

「ROBOT×LASERBEAM」のイマイチな点を語ってきましたが、流石はヒット作を生み出した漫画家だと感じる部分もありました。

序盤のツカミ

短期連載の漫画においては非常に重要な序盤のツカミですが、これはとても上手かったです。ロボがゴルフと触れ合い、現アマチュアトップの三浦鷹山を震撼させるくだりなんかは良かったですね。

このツカミ方は、少年ジャンプの名作に多く、「ヒカルの碁」の序盤におけるヒカル(佐為)VS塔屋アキラ。「テニスの王子様」の序盤における越前リョーマVS青学レギュラー陣などなど。

簡単に言うと、主人公が序盤から比較的高い能力を持った場合のツカミ方で、強敵相手に「俺つえー」させる方法です。

ただ、その場合、三浦鷹山を負かしてしまうというよりかは、先に栄藍ゴルフ部のレギュラー陣と出会わせて、テニスの王子様式で、「俺つえー」させた方が良かったんじゃないですかね?

リョーマの場合、最終的に手塚部長に敗北を味わい挫折しましたが、その役目を三浦鷹山にやってもらうと良かったんじゃないでしょうか。

三浦鷹山を完膚なきまでに負かしてしまうと、そもそも漫画として成り立たないような気がします。事実、作中では時間切れで、三浦鷹山の負けという、煮え切らない結果になりました。

「ROBOT×LASERBEAM」の組み立て方も、それはそれで良かったのですが、これだけ短期連載になるなら、個人的には、序盤の「俺つえー」的な要素をもっと多くしてもよかったと思います。

キャラクターが良い

この人の漫画は、割と女子ウケしそうな作風ですよね。キャラ漫画という要素も色濃い漫画家さんなので、キャラクターは良かったです。

ロボも黒子テツヤを彷彿とさせる陰キャラ界の帝王でしたし、私としては三浦鷹山が好きですね。特にインタビューに対しての答えが「集中するぞ」なのは、めっちゃウケました。

ちなみに、黒子のバスケでは緑間真太郎が圧倒的に好きでした。

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設定の振り幅の小ささに負けた漫画

いくつか問題点を挙げましたが、やはり致命的だったのが、主人公の得意クラブがアイアンという点でしょうね。

ここまでアイアンが高精度だと、パットの技術は必要ありませんし、ドライバーが下手でも、アイアンで刻む事でなんとでもなります。そもそもロボ、ドライバー上手いですし。

そうなると、漫画のふり幅が非常に小さくなってしまい、無理やり「ロボのイップス克服編」なんて、こじつけられても、面白くありませんよね(爆笑)

ランスロットのようなパターの名手がイップスを克服するって設定なら面白そうですが。

かといって、スタミナ切れでスコアダウンなんて、何度も使える方法じゃありませんし。

プロ編では、ドリアン=グリーンとの間に培った友情が邪魔をして、勝利を躊躇するという、寒いゆとり設定が炸裂したりもしました。鷹山との誓いはどうしたんじゃ…

でも、そうなんですよね!!主人公の得意クラブをアイアンにして、それなりに長い期間、連載を続けようと思ったら、こうやってお茶を濁すしかないんです。

そう考えると、藤巻忠俊さんが悪いというよりかは、編集の練り込みが足りなかったんじゃないでしょうか?仮に短期連載狙いだとしても、工夫次第で、まだまだ良くなったと思います。

ただ、マンネリ気味で、お色気要素だけで持っている状態の「食戟のソーマ」がいまだに連載している状況ですし、単純に漫画の面白さだけで連載終了したわけではないような気もしますが…