ゴールデンカムイ 19巻まで 感想 評価 漫画口コミレビュー

少年ジャンプ脳の私が人気漫画のゴールデンカムイを読んでみました。感想や評価口コミレビューを紹介。札幌市南区民(日夜クマさんとハチミツ争奪戦を繰り広げる天険の地)かつ祖母が豊原に出稼ぎ。祖父が秋田出身なので、思うところありすぎ(笑)

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ゴールデンカムイとは?

ゴールデンカムイは、日露戦争の時に不死身の杉本とロシア兵に恐れられた男の物語。舞台となるのは日露戦争後の日本。主人公である杉本佐一は戦争で死んでしまった親友の妻を救うため、北海道で砂金掘りをしていた。

そんな時、網走監獄の脱獄囚の背中に奇妙な刺青を見つける。時を同じくして、ヒグマに襲われた杉本はアシリパというアイヌの少女に助けられる。

こうして運命的な出会いを果たした日露戦争帰りの帰還兵とアイヌの未来を背負う少女アシリパが、ゴールドラッシュに沸く、北海道で金塊争奪戦に巻き込まれていく。

主な登場人物は、杉本とアシリパ組。鶴見中尉率いる第七師団北鎮部隊。新選組の残党兵土方歳三一派。各地のヒグマたち(笑)だが、各キャラにもスポットライトを当てた三者三様の群像劇が魅力でもある。

歴史あり、文化あり、グルメあり、バトルあり、淫夢ありのごった煮要素の強い作品だが、意外にも絶妙なバランスで総合力の高い作品。

少年ジャンプ以外の漫画で初めて真面目に読んだ作品

私は幼稚園から少年ジャンプと共に歩んできた自他共に認めるジャンプ脳です。自分の本気度を「フリーザ様でいったら1段階目のボールに乗ってるくらいかな」とか、普通に例えちゃいます(笑)。

基本的に、少年ジャンプ以外の漫画は真面目に読まないのですが、無論、ヤングジャンプとて例外ではありませんでした。

そんな私が、ヤングジャンプで連載中のゴールデンカムイに見事にハマってしまいました。ネットの口コミの温度を見ていると、おそらく面白いとは思っていたものの、予想以上にすんなり入り込めましたね。

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ゴールデンカムイの感想と魅力

キャラがとにかく魅力

ゴールデンカムイの魅力と言えば、魅力的なキャラたちによる群像劇です。主人公の杉本佐一とヒロインのアシリパさんはもちろんなのですが、1巻で明らかなモブキャラ臭を漂わせていた尾形上等兵がこんな強い奴だなんて思わなかった!?

良キャラを挙げればきりはありませんが、漫画における鉄板設定の実は歴史上の偉人は生きていた、でお馴染みの土方歳三。

もう、そのバッググラウンドだけで好きになってしまいますが、日本刀による抜刀術に銃を組み合わせた戦術は素敵すぎます。

また、上に書いた尾形百之助も、かなりの良キャラで影を持った二枚目。銃による射撃の名手で、数百メートル離れた的を正確に射抜く。まさに魔弾の射手(笑)

淫夢担当(笑)のマタギの谷垣も良キャラで、ギャグ担当でもある。ゴールデンカムイは、網走監獄の脱獄囚の体に彫られた宝の地図を探す物語ですが、その張本人たちも魅力。

基本的に魅力的な囚人が多いですが、やはり筆頭は二瓶鉄造でしょう。クマ撃ちの名手のかつ伝説のマタギとして登場し、その圧倒的な存在感で読者を虜にする。二瓶が作る「ニヘイゴハン」で、孤独のグルメの視聴者層も貪欲に囲い込む。

極めつけは、第七師団を率いる鶴見中尉でしょう。極度の人ったらしで、第七師団には彼を盲信する軍人が多い。

とても奇想天外なキャラで、彼とその部下とのやり取りが、作品の癒しになったりもします。二階堂にまでしっかりとスポットライトを当てるキメの細かさには驚きました。

ゴールデンカムイの凄いところは、二瓶クラスの良キャラを1エピソードで使い捨てしまうところです。ココには作者の余裕すら感じられ、その大胆なキャラクターマネジメントはこの漫画の強みでもあると思わされました。

特に、ダイの大冒険のアバン先生をはじめ、少年ジャンプでは、「あのキャラは実は生きてた」が多いので新鮮でした。富樫さんなんかは、魅力的なキャラを短い話数のみ活用する事が多い漫画家ですが、ゴールデンカムイのキャラは、それ以上に短命です。

他にも、魅力的なキャラはたくさん登場しますので、キャラに注目しつつ漫画を読み進めていけば、より楽しめるのではないでしょうか。

グルメ界番外地要素

少年ジャンプのトリコが好きな読者なら、ゴールデンカムイも好きになれる可能性は高いです。

北海道を縦横無尽に駆け巡る杉本とアシリパの糧になるのがアイヌの猟師飯。北海道の大自然で取れた獲物を調理して、振舞います。

実際のアイヌ文化をモチーフにしている事から、ファンタジー要素の強いトリコよりも、ずっと現実的なグルメ要素です。

また、杉本サイドには谷垣源次郎という阿仁マタギのキャラがいるので、マタギ料理が振舞われるのも面白い。上に書いたニヘイゴハンもソレです。(とても食えそうにないけど…)

特に、阿仁マタギは、以前NHKスペシャルの動画を見て、めちゃくちゃ面白かった記憶があるので興味がありました。そんな要素が取り入れられていたのも魅力的でしたね。

ヒグマが強キャラ

私は、北海道の札幌市南区に住んでいるので、非常にヒグマと近しい場所にいます。札幌市の中でも、特にヒグマの出没回数が多い場所です。

そのため、ゴールデンカムイにおいて、ヒグマが強キャラとして扱われているのにはシンパシーを感じましたね。

住んでいる場所の周辺には山が多いので、登山なんかも興味があるのですが、臆病な私はヒグマに出会うのが怖くて、一生山には入らないと思います。

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ゴールデンカムイの気になる点

大胆なキャラマネジメントゆえのジレンマ

ゴールデンカムイの魅力は、大胆なキャラクターマネジメントにあると申しましたが、それゆえのジレンマもあります。

それが、上でも紹介した二瓶鉄造クラスの良キャラが、1巻から2巻程度で消えていってしまう点。特に、金塊の在り処を示した刺青は、剥ぐ事を想定しているため、基本的に刺青の囚人は死にます。

伝説のマタギである二瓶鉄造なんかは、普通に主要キャラでもいいくらいの良キャラで、刃牙シリーズで言うところの、愚地独歩や花山薫のような存在感です。普通に外伝いけますね。

他にも個人的には、人斬り用一郎こと土井新蔵や極道の若山輝一郎。めっちゃヤバい奴だけど、姉畑支遁や辺見和雄なんかも魅力的。

こういったキャラが、どんどん脱落していくのは悲しい…。しかし、そういった部分もこの漫画の魅力なのだとは思いますが。

バトルシーンの描写が下手

これは非常にもったいない部分だと思います。この部分が「るろうに剣心」や「もののけ姫」に追随するようなレベルに達していたら、本当に伝説の漫画になっていたかもしれません。

登場人物に同名キャラが多い少年ジャンプの「るろうに剣心」と比べると明らかで、特にこの煽りを食ってるのが土方歳三の剣戟。

彼は、茨戸で老練な軍人の戦術を披露したりもしたのですが、せっかくの名回をバトルシーンが足を引っ張ってます。

さすがは人気漫画家だけあって、台詞回しは上手いのですが、バトルシーンがいかんせん淡泊すぎるんですよね。

まず、気になったのが効果線や効果音の使い方です。あまり、使うのが好きではないのか、それともヤングジャンプ特有なのか、黄金期の少年ジャンプに比べると熟練してません。

そのため、キャラに十分な迫力が伴ってこないんですね。特に土方歳三は鬼の副長としてのイメージが強いので、作中に何度かある仁王立ちシーンで、それが発揮されないのが残念でした。

その弱点を踏まえたからこそ、銃と剣の二刀流なのであれば、非常に理にかなっていますが。土方の一枚絵にバガボンドみたいな迫力が伴えば、ガチでカッコいいと思うんですけどね。

一方、だからこそ活きてくるのが尾形百之助の狙撃戦です。尾形VS谷垣だったり、尾形VSヴァシリだったりは、緻密な狙撃戦という感じで面白いです。また、野田サトルさんは注釈の入れ方が上手いので、それが余計に際立たせるんですよね。

まぁ、元々、ドラゴンボールのようなスピード感のあるバトル漫画を描きたいわけではなかったと思うので、バトルシーンの下手さが漫画の足を引っ張る事はありません。

それに、絵は決して下手だとは思いません。絵に不思議な魅力というか色気もあると思いますし。

淫夢厨に果敢にアタック

作者である野田サトルさんは、ニコニコ動画が好きなんでしょうか?(笑)

作品の合間合間に、明らかに淫夢層の獲得を狙ったような描写が目立ちます。ゴールデンカムイは、基本的には名作だと思いますが、時に淫夢ネタが行き過ぎて、作品の総合力を落としてしまっていると思います。

淫夢ネタは、巻末のオマケ程度に留めておくべきではないでしょうか?まぁ、私はニコニコのコメント欄育ちの生粋の動画民なので抵抗もありませんし、好きな女性配信者に「やみん」が名を連ねたりもしてます。

しかしながら、作品の質を落としてまで、過度な淫夢ネタをぶち込む必要はないと思います。

ただ、寄り道的な回が、全て嫌いというわけではなく、樺太編のサーカスの回なんかは、割と面白かったです。

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ゴールデンカムイの総評

最近、少年ジャンプが不作の時代を迎えているので、久しぶりに骨のある漫画に出会ったな!!という印象です。

何より、私の少年ジャンプ脳を払拭したのは大きいです。事実、ゴールデンカムイがきっかけで、「ザ・ファブル」、「チカーノKEI」などなど、以前までの私の守備範囲外の漫画にも手を出すようになりました。

また、最近読んだ漫画と比べても、ゴールデンカムイはツカミが秀逸です。1巻から惹き込まれるような世界観が展開されているので、ハマる人はすぐにハマるでしょう。

特に、網走監獄編までのストーリーが秀逸で、第一部に該当するかと思います。現在は第二部のような感じで、樺太(ロシア)編が連載されています。

囚人キャラが短命な点も、主要キャラに魅力的なのが揃っている事もありカバーされていますし、バトルシーンの下手さも漫画のスタイル的には大きな欠点にはなりません。

そんなこんなで、近年稀にみる名作と言えるのではないでしょうか。