13年の時を経て、独身貴族「桑野信介」再臨。まだ結婚できない男の第1話を見た感想と評価。絶対的ヒロイン夏川結衣の代わりを見事に務めた吉田羊。稲盛いずみが美しい。阿南敦子、やっくんのブログなど気になるキャラも多数。
前作「結婚できない男」は現代風刺の皮をかぶった超名作
実は前作の「結婚できない男」の大ファンでして、未婚化率や晩婚化が進む現代を皮肉った作品と思いきや、意外にも正統派の超名作ドラマです。
各話、全く無駄のないラインナップで、キャストも素晴らしかった。
そんな「結婚できない男」の続編が始まるという事で、とても楽しみにしていましたが、公式サイトのキャストを見る限り、「前作以上は望めない」という前評判(笑)でした。
役者陣の総力が明らかに低下
まず、「まだ結婚できない男」のキャストで非常に残念なのが高島礼子さんを出せない事ですよね。
前作の「仕事がデキる女」演技は、神々しいレベルで、あまりの仕上がりっぷりに憧れを抱く事すら難しい。(あぁ、どんなに頑張っても、このレベルには達せないわ…みたいな)
そして、高島礼子とは対照的に、デキる女を目指しつつも、どこか間の抜けていて、そこが愛らしくもある国仲涼子。当時、「意識高い系」という言葉があったかはわかりませんが、十数年前の「意識高い系」を体現しています。
桑野信介とは正反対の喜怒哀楽が激しい性格で、その対比が本当に癖になる。桑野の隣人は、「みちるちゃん」以外に考えられないレベルです。
そんな意味では、新たなる隣人として第1話にも出演した「深川麻衣」さんには、この壁をぶち破る使命が課されてるんです。ただ、断言しますが、絶対に無理です。
また、結婚できない男名物の「金田更新してるな」が聞けないのも残念。高知東生さんは、2016年の逮捕が尾を引いてるのか、2018年に復帰したものの、やはりお呼びはかかりませんでした。
金田の出ない「結婚できない男」なんて、気の抜けたコーラも同然ですよね(笑)。せっかく、前作の最後に桑野と仲良くなれたのに、そこからの派生も強烈に気になります。
「稲盛いずみ」に夏川結衣の代わりは務まらない
これも個人的に本作の前評判が悪かった理由です。公式サイトの相関図を見る限り、桑野と岡野(稲盛いずみ)の紆余曲折がドラマになるのかな?なんて思っていました。
「稲盛いずみ」のこれまでの演技を見る限り、決して夏川結衣の代役が務まるとも思えなかったので、この部分がかなり不安要素だったんです。
しかし、蓋を開けてみると、桑野、吉山(吉田羊)、岡野(稲盛いずみ)の三角関係が主題になっていきそうな感じですよね。これに隣人の戸波(深川)が加わってくる感じでしょうか?
この部分に関しては、1話を見て杞憂に終わりました。
まだ結婚できない男(第1話)感想と評価
このように第1話を見るまでは、あまり良いイメージを持っていなかった「まだ結婚できない男」です。
吉田羊(吉山まどか)が大健闘!!
1話を見ての感想は、前作における夏川結衣のポジションが、そっくりそのまま吉田羊扮する「吉山まどか」になっていますよね。
吉田羊さんが本格的に女優として活躍し始めた時期には、既にドラマから卒業していたので、彼女の演技は未知数でした。
しかし、1話を見る限り、流石ベテランを言える演技を魅せます。「結婚できない男」のコアなファンは、ヒロイン「夏川結衣」のイメージが、あまりにも強いです。
そのため、新しいヒロイン役は、この部分を払拭する必要がありますが、吉田羊さんは、1話の段階で、もう夏川結衣に匹敵するキャラクターを確立してしまいました!!
おそらく、この演技を見る限り、本作「まだ結婚できない男」は、良作としての地位は確立したでしょう。
「稲盛いずみ」に関しても、何より美しいですし、役ハメには成功しているようで、演技に違和感は見受けられませんでした。そんな意味じゃあ、現状のダブルヒロインは成功したと言えるんじゃないでしょうか?
棟梁役の不破万作さんが阿部寛との取っ組み合いに果敢に挑戦
涙ぐましいです。
本作の「空気を呼んだキャスト・グランプリ」を早くも受賞した(笑)棟梁役の不破万作さんですが、第1話でも桑野との軽い取っ組み合いをし、元気なお姿を見せてくれました。
前作に比べると、ややキレが落ちた感じもしますが、当たり前ですよね。だって、現在73歳で、当時は60歳前後だったんですから。
70歳を超えて、阿部寛との取っ組み合いにチャレンジする姿は、意外に第1話の見所だったような。
ポスト「さくら」の奈緒
今作からの新キャストの中では、吉田羊さんを除けば、奈緒さんが良い味出してました。
横田詩織役の奈緒を前作の役に当てはめるなら、村上の恋人役だった「さくら」だと思います。そう考えると、奈緒さんに関しては、前作以上のキャラクターを確立しています。
次回以降もどんな顔を見せてくれるのか楽しみで、全く知らない人でしたが、元モデルのようですね。
反面、元気のない荒井敦史
桑野のアシスタント役で早くも存在感を示した奈緒とは対照的に、同じくアシスタント役の荒井敦史さんは地味過ぎますね。
まだ1話なので、これからエピソードが語られる事かと思われますが、1話の現状ではアシスタントは奈緒1人で十分だったんじゃないか?と思わせるレベルです。
桑野設計事務所の面々は、このドラマの核になる部分ではないか?なんて考えていて、少数精鋭であればあるほど良いです。
前作までは、阿部寛、高島礼子(PR会社)、塚本高史の3人で、付け入る隙がないくらい完璧なメンバーでした。
本作では、この部分を崩し、桑野、村上、アシスタント2名(横田、丸山)、経理担当の沢村(阿南敦子)と、倍近くになります。
前作までの少数精鋭メンバーは、何か桑野の役柄である偏屈だったり、「信頼できるメンバー以外とは一緒に仕事はしない」を体現しているようで、好きだったんですけどね。
経理役の阿南敦子をどう料理するか?
公式サイトでは、経理の沢村役の阿南敦子さんは、桑野がちょっぴり苦手な経理のお局的な役柄のようです。
1話では、まだ顔見せ程度の出演でしたが、この方をどう料理するのか気になります。
定番としては、紆余曲折の末、実は仕事に情熱を燃やす良い人キャラだった(笑)辺りが落としどころではないでしょうか?
これは、本当に個人的な趣味になってしまいますが、実は沢村が桑野に恋をしていた(爆笑)なんて、物語も見てみたい。
ただ、私の中で経理担当のベストポジションには、SPの原川幸子役の平田敦子さんがいらっしゃるので、イロモノ系で攻めるには、個性が弱すぎると思いますね。
なので、下町ロケットで経理部長を演じた立川談春さん的なポジションになるのかな?
桑野のクラシック
悪い意味で気になったシーンのひとつ。
前作までにも、割とよく用いられたシーンですが、本作の桑野がクラシックを聴くシーンはあからさま過ぎます。
前作までは、あくまでも、お一人様が椅子でくつろぎ、ついつい、指揮真似をしてしまう、という様がよく表現されてました。
前作までは、お一人様に対する共感を呼ぶシーンでしたが、本作の桑野がクラシックを聴くシーンは、明らかにドラマを撮影するためにやってますよね。
前作が超名作と言われる所以は、こういった細部にまで対するこだわりが見受けられた部分でもあるので、個人的に非常に悪目立ちした部分です。
それと、前作を見返していて思ったんですが、本作は全体的にカメラアングルがかなり下手になりましたよね。
レンタルショップは?
コンビニ店員が外国人ってのが、安いプロパガンダっぽくて、ちょっと気になりますが(笑)
前作でも、コンビニ、レンタルショップ、ステーキハウスの店員たちと桑野信介とのちょっとした物語は面白かったです。
桑野の心境の変化にリンクするかのように、彼ら、彼女らの人生も少しずつ進展していて、毎回どんな様子を見せてくれるのか楽しみでしたよね。
本作では、まだコンビニの店員さんだけという事で、これがどう広がっていくのか気になります。
やっくんのブログは金田の代わり?
やっくんと桑野との絡みは非常に気になりますよね。今回は、匿名ブログという事らしいので、終盤に満を持して「やっくん」登場という感じでしょうか?
てか、やっくんのブログの順位が上がってるのって、桑野が尋常じゃないくらい検索して、クリックしてるからじゃ(笑)
全体としては阿部寛つよしを感じる良作
前作と比べてしまうと、全く太刀打ちできないと思いますが、昨今のドラマと比較すると、かなり総合力の高い良作だと思います。
ゲーム業界における「取りあえず無双シリーズ」的(笑)な発想で、阿部寛を主役に起用しておけば、作品の軸は安定します。
さらに、軸を支える存在である「吉田羊」さんが、素敵な演技を魅せているという事で、第1話にして、安定路線をつかんだ感じですね。
何か、現代においては、結婚しない事が人生を安定させる近道という、既婚者に対する痛烈なアンチテーゼを感じるのは、私だけでしょうか(笑)
ただ、残念な事に、現代のドラマを面白くするためには、「できるだけ20代以下の若手を少なくする」を体現してしまっているような気もします。
それと、前作に比べると、桑野信介の役作りが甘い気がしてます。前作までは、彼の行動の端々から垣間見える美学のようなものが存分に表現されていました。
まぁ、これについては、10年の歳月が彼を丸くした、とも捉えられるわけですが。ただ、それはドラマとしてはどうなんだ?
最後に、「まだ結婚できない男」の総評を一言で語るとしたら、「阿部寛つよし」ですね。ただ、公式サイトのチェインストーリーとか、止めてほしいな。これゲームの追加キャラと同じ商法だよね。まぁ、無料ですが…
お、金田干されてるな